緊急対談 笹森清氏(協同労働法制化市民会議会長) 永戸祐三氏(労協連理事長)
日本社会が本当に動き始めた
この社会を根本的にどうするか
協同労働法は、景気・社会保障・雇用の切り札 |
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総選挙で民主党が圧勝。新しい時代へ、日本社会が本当に動きはじめました。この局面で、何をどう見、どうしていくのか。選挙翌日、8月31日に協同労働法制化市民会議の笹森清会長(中央労福協会長)と、労働者協同組合連合会永戸祐三理事長が緊急対談しました。
渦巻く怒り
-選挙は、すごい結果になりました。
笹森 ここまでの劇的な変化は小選挙区制の破壊力によるものですが、一番底辺の人たちの思いがすさまじかった。その思いから、政治を変えなければ、というベクトルがものすごく膨らんだ。
永戸 無党派の人たちが一つの政党というか、一つの塊のようになって動いている感じがします。目には見えないけれども、生活と地域の実態からくる怒りが渦巻いている。
笹森 そう。
永戸 昔の企業は、労働者にさまざまな技術を身につけさせ、資格をとらせ、その企業の調子が悪くなっても他に行けるようにした。市場至上主義でつくられた企業、派遣業はそれをまったくしない。人間を道具の一部としてしか見ない。格差社会が徹底し、自殺者が相次ぐ。こういう状況が"蔓延"させられていることへの怒りを強く感じます。
期日前投票がかなり増えましたが、不規則な労働をしている人、困難にぶつかっている人たちがずいぶん投票に行っているように思います。
笹森 それは、「投票に行こうよ」という運動の成果でもあるんです。昔の不在者投票は役所でしかできなかったけど、通勤の途中でやれるようにしてほしいと、連合が考え出し、駅前のデパートも使えるようにした。
それにしても、自民党は、バブルがはじけて以降も、高度成長時代のシステムのまま、パイの分配を仕切ることで支持を得ようとしてきた。それが間違いの一つですね。
永戸 高度成長時代の「繁栄」「豊か」、冷戦時代の「社会主義より自由主義」という自民党の基盤がなくなり、生活も地域も企業も崩壊させられてきた。その結果が今度の選挙にはっきりと現れた、ということですね。
この社会を根本的にどうするのか。これは、民主党政権にも、国民全体にも問われていると思います。
共に壇上に
-協同労働法制化にとって今回の結果は。
笹森 197人の協同労働法制化議員連盟の中で46人が引退、落選ということになりました。とくに最大の理解者であった顧問3人のうち2人が引退、落選しました。一生懸命やってくれた人たちがいなくなったのは大きな痛手で、残念なことです。
しかし幸いにして、坂口会長、仙谷会長代行、長勢幹事長、そして副会長のほとんどが残りました。
そして、この法を一番積極的に進めようとしていた政党が最大勢力となり、政府・与党側になるので、今まで以上に実現の可能性が高まりました。
民主党の仙谷さんのところ(徳島1区)に、ぼくと永戸さんが激励に伺い、壇上に一緒に立ったことも画期的だったと思います。
永戸 ええ、勧められて、上がらせてもらいました。
労協連では、候補者の方々にアンケートを送り、116通の返事をいただきました。協同労働法のことは、結構知られており、当選したら議員連盟に入りたい、という方もかなりおられました。ただちにお祝いに伺い、早期制定への尽力をお願いする取り組みを始めているところです。
最悪の水準
-7月の完全失業率は5.7%。「経験したことのない最悪の水準」(日本経済新聞)と報じられました。
笹森 1カ月で0.3ポイントも悪化して最悪です。企業内の潜在失業者を含めると実質1000万人の失業社会がつくられている。
永戸 ええ。失業率は実態としては10%を超えているのでは。
笹森 世論調査によると、今、政治に求めるものは、1.景気回復 2.社会保障 3.雇用対策の順です。
しかし、景気回復は結果であり、病根を先に治療しなければならない。となれば、社会保障に対する不安除去と、生活のベースになっている「働く」ということに優先順位をつけなければならない。
雇用労働の世界は"瀕死"の状態にある。それを救うのに、なくてはならない働き方として協同労働を社会的に位置づけるべきだし、その法律が必要になっている。
協同労働法は景気・社会保障・雇用の問題を解決する、一つの切り札としての法律に必ずなります。
永戸 ええ。市民・働く者自身が協同して仕事をおこしてがんばる協同労働の法制化は、労協の中よりも、NPOで事業をやっているところなどからの期待が大きいんです。
笹森 埼玉では全自治体で法制化促進の議会決議があがりましたね。自治体にとっても、なくてはならない働き方になっている。
永戸 ええ。議会決議は今、700近くになっていますが、9月議会で1000をめざしてがんばります。
朝日新聞が8月29日に各党のマニフェスト一覧を載せたのですが、議連副会長の田中康夫さんが代表をつとめる新党日本の「雇用」欄の最初に、協同労働のことが挙げられていて、非常に励まされました。
自立支援事業
笹森 マニフェストでは、各党とも職業訓練を重視している。この点も大事になっていますね。
永戸 私は、自立して人間的に働いていける能力を身につけさせる「自立支援事業」を公的にやるべきだと考えています。年限は3~5年程度保障する。2年あれば農業でも一通り身につき、3年目にはほとんど自分で出来るようになるといわれますから。農業の再生と、介護・福祉などサービス業の高度化を中心に訓練する。
政府は今、「雇用保険をもらっていない人にも10万円渡します、訓練を受けなさい」とやっていますが、これを一つにして、自立支援事業とし、働いて、賃金相当の生活費が出るようにする。その方が誇りを持てる。
この自立支援事業を法制化された協同労働方式で市民が運営する。そういう形にできたらと思うのです。
笹森 私も全力をあげてがんばります。
(2009年9月)