2010-11-15
協同労働法制化で新しい活力と希望 ─ 法制化市民会議笹森清会長に聞く

─法制化の動きと展望は。
笹森 超党派の国会議員連盟(協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟)が08年2月に結成されてから3年近くになります。この間、政権交代もあり、法案の中身をめぐる各党の意見調整等に時間がかかりました。
しかし、先進国では労働者協同組合─協同労働の協同組合は何らかの形で法制度的に保障されており、法律も何もないのは日本だけという状態のまま、2012年の国際協同組合年を迎えたなら、日本は世界に恥をかくことにもなる。
この法は、協同労働という働き方で仕事をすることを中心眼目とした協同組合に法人格を与える法律で、協同労働で働く者も労働者として認め、労働者としての権利を保障する、という趣旨であり、反対する人はまずいません。
しかし、「反社会的勢力に悪用されないか」などの疑問が労働団体などから出てきました。どんな法律をつくっても、反社会的勢力は入り込んでくるわけですが、罰則づくりも含めてここをクリアし、2011年春の通常国会で法律が仕上がるように、この臨時国会中に法案要綱の最終案をつくりあげるところまでいかなければと考えています。
ちょうど200人に達した議員連盟の新体制ですが、会長代行に中川秀直議員(自民党)に加えて川端達夫議員(民主党)、幹事長に枝野幸男議員(民主党)、事務局長に山井和則議員(民主党)をお願いしたらどうか、顧問には新たに江田五月議員(民主党)も、ということで、坂口力会長(公明党)と相談中です。副会長には引き続き全党から参加いただける見込みです。
雇用・地域再生
─笹森さんには07年に協同労働法制化市民会議会長を引き受けていただいたわけですが、協同労働法制化の意義を改めて。
笹森 格差・貧困から人々を救い、破壊された雇用と地域を再生するための働き方、新しい公共の担い手をつくるものとして協同労働の重要性は明確になってきています。
たとえば今、司法修習生が借金漬けになって卒業し、職もない、ということが大きな問題になっています。彼らだけではありません。奨学金に3%も利息がついている国は、世界で2カ国だけ。卒業したら、いきなりサラ金地獄。そんな社会にしてはいけない。
彼らは、株式会社で起業した先輩のところに経験を聞きに行っているそうですが、今の地域社会を考えたら、例えば介護の問題、保育の問題、公共的な様々な仕事を協同労働でやってみる、農業や環境なども関連する協同組合などと連携しながらやる、そういう道が開かれれば、すごい受け皿になりうる。
一生懸命に求職活動をして、やっと就職できても簡単に首を切られる。そういう働き方から、自分たちで職を創り出す「創職」、創り出した仕事を自分たちの責任で担う「担職」、という働き方で、地域社会の絆も取り戻していく。
そういう働き方の価値、可能性を地方自治体が先行して認め、全国800近くの議会決議につながっているのだと思います。
私は、たまたま埼玉県の上田清司知事と懇談させてもらいましたが、ワーカーズコープのみなさんは、埼玉県から生活保護受給者の就労支援の仕事を受託し、大きな成果をあげ始めていると伺っています。新しい形での公的な就労訓練制度が創設され、法制化された協同労働とが結べば、日本社会に新しい活力と希望が生まれてくる。
こうした展望を描いて、一層頑張り合いたいと思います。