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2014-03-25

岩手・大槌 「ねまれ屋」で地域の声聞き、元気に

子ども向けの取り組みが次の糧と
 NPO法人ワーカーズコープ大槌(おおつち)地域福祉事業所は、少しでも地域の人と知り合い、いろいろな話を聞きたい、災害公営住宅に暮らす人たちのつながりづくりをしたいと、昨年12月から大ケくち地区災害公営住宅と事務所で週2回ずつ、サロン「ねまれ屋」を始めました。ハンドケアマッサージや料理作り、季節に応じたイベントなども実施して、地域の人たちの楽しみにもなっています。
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ねまれ屋で恒例のラジオ体操



「知り合いがいない、病気になったら……」
 大ケ口地区災害公営住宅の集会所を利用した「ねまれ屋」の開始時間10時になると、横殴りの雪の中を同住宅(全70戸)に住んでいる4人、組合員の知り合い2人がやってきました。
 まずラジオ体操で体を動かします。それから、お茶を飲んだり、おしゃべりしたり。
 「ねまれ」は方言で、「座っていきなさい。休んでいきなさい」という意味です。
 「病気とかになった時に困る。近所に声をかけられればいいんだけれど、知り合いもいないし、自治会もないし、どうしていいか分からない」と、古澤光所長に不満をぶつける男性は、すでに顔なじみのようです。
 仮設住宅はできるだけ地域で固まって入るようにしていましたが、災害公営住宅は知り合いがいない中での入居もあり、孤独感を持つ人もいるようです。
 鉄工所を夫婦で経営し、3・11で夫を亡くした方は、「一人になって、食欲が落ちた。孫でもくれば食べるけれど……」。
 みなさん、総じて「壁が薄くて、隣の声がまる聞こえ。家族で入っている人は気を遣って大変」と指摘します。仮設住宅の時には、コミュニティがあり、子どもが騒いでいても、温かく見守っていた感じがあったそうです。しかし、今は、子どもを持つ家庭は近所に迷惑をかけるのではないかと、萎縮していると言います。
 午後は、地域の方々が連れ立ってやってきました。
 「火曜と木曜はここで何かやっているから、来ることにしているんだ」「チラシ入っているからねぇ。いつ何やるか書いてあるから」「一人だから、ここに来ないと話すこともないんだ」と。「来週はおはぎ作りでしょ。楽しみだね」と笑顔も。
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3.11では自分たちでつくった灯籠であの日をおもった



災害公営住宅でつながりづくりも
 ねまれ屋を始めたきっかけは、仮設住宅から災害公営住宅に移り住んだ組合員の声。「仮設住宅では、集会所で大人が子どもたちを見てくれていた。だから、働いている保護者も、安心していられた。災害公営住宅に入ると、コミュニティがなく、もう一度つながりをつくらなければならない」と、“困った”を話しました。そこで、まだあまり利用されていない集会所を借りて、つながりづくりをしようと、サロンをすることになりました。
 組合員の川崎雅士さんも家族で住んでいるので、お母さんが参加者集めに一役買ってくれました。そして、回数を重ねるごとに、「火曜日と木曜日は集会所でねまれ屋がある」と認知されるように。
 組合員たちは、「家の中ではできない話をここでして、すっきりして帰ってもらえる」「道で会っただけでは聞けない話を、ここなら聞くことができる」と、喜んでいます。
 「学校帰りに子どもたちが寄ることも」。子どもが作った灯籠も飾ってありました。子どもがここにいることで、親や高齢者も顔を出してくれます。
 「災害公営住宅とそれ以外の地域の人では、来る時間が違っていて、まだなじんでいないようだ。工夫をしなければ」「サロンをすることで、立ち上げを目指す、共生型福祉施設運営の練習にもなる」と、この日のねまれ屋を中心的に担った青山弘美さんは先を見ています。
 古澤所長は「ねまれ屋で、組合員が元気になっているのを感じる。地域の人と実際に接して、声を聞くことは重要」と実感しています。

どんな子でも暮らし続けられるまちに
 2012年に緊急雇用創出事業などを町から受託して始まった大槌地域福祉事業所は、現在11人の組合員がいます。市民らが復興やまちづくりを話し合う復興市民会議、地域調査などを重ねながら、チームに分かれ、子育て、介護、食品加工などの仕事おこしを模索してきました。
 一昨年より、小学校の長期休暇中の、早朝子ども預かりを始めました。大槌町こどもセンターの開館時間は、10~17時半。「働いている保護者にとっては利用しづらい」という組合員の意見から、8~10時まで子どもを預かり、開いたこどもセンターへ送る事業を発案。休暇期間中、回数に関わらず1人500円で利用できるようにしました。
 最初は、利用数が少なかったのですが、続けていくうちに利用者が増え、多い時には17人を預かり。
 「必要なサービスがあることが知られれば、利用が広がる」(三浦弘美さん)と実感しました。
 また、被災地では子どもたちが外で遊びづらい状況に置かれていると知り、昨年5月から月1回「みんなのあそび場!」を、様々な団体の協力を得て実施。森でのアスレチック、湿原での生き物観察、公園での雪遊びなど、毎回、場所や趣向を変えて、子どもたちが体と好奇心をめいっぱい動かせるように工夫しています。
 こちらも、回を重ねるごとに参加者が増えてきています。
 昨年、大槌では富山型の共生型福祉施設をイメージして、立ち上げに向かいました。介護職員初任者研修を実施し、スキルアップや仲間づくりにも務めました。
 しかし、町からは先行の事業者もあり、「高齢者介護施設は認めない」と言われました。
 そこで共生型を、放課後等デイサービスを中心にすることにしました。
 実際に、障がいのある子どもを持つ組合員もおり、その組合員から関係団体も紹介してもらっています。
 町は「放課後等デイのニーズは少なく、事業として難しいのではないか」と言いますが、大槌には施設がないため、隣の釜石市まで行っている人も。支援学級などの先生や保護者からも、ここに必要だという声を聞きます。
 支援学級の先生と保護者の話し合いの時間に、子どもを預かる試みも。「肝試しをするんです。どきどきです」と笑う三浦さん。これを機会に信頼関係も築こうと意気込んでいます。
 現在は、三浦さんと東梅真奈美さんが中心になって、関係施設への見学や研修を実施。必要な資格のある人の確保など、課題はありますが、「できるところから」(三浦さん)進めています。
 高齢者には介護ではなく、「生きがい・やりがい」のある場を提供することを視野に。
 一方、大槌の新しい名菓にしようと、「はまぎくサブレ」作りも進んでいます。調理施設を借りて試作を重ね、指導してくれた菓子職人の「これなら販売できる」というお墨付きももらいました。これからは、加工場建設と、パッケージデザインや販売展開などの課題に挑んでいきます。
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子どもが体を動かせる「みんなのあそび場」を行うなどの取り組みが少しずつ実を結ぶ



復興と事業への思いを込めた文書を
 昨年11月、町から「成果が出ていない」と緊急雇用事業の13年度一杯の終了を打診されました。
 大槌ではチームに分かれて、仕事おこしを目指していたためにまとまりに欠けていました。また、事務所が釜石にあったので、組合員はほとんど事務所の中で過ごすような状況でした。そこで、10月末に事務所を大槌町に移転。
 「動きが変わった。すぐに出かけるし、人も来るようになった」と古澤所長。
 さらに、早朝子ども預かりやあそび場などの積み重ねと、共生型福祉施設という拠点づくりの目標ができて、前進していることは確かです。
 そこで、「これまでやってきたことを無駄にしたくない」の思いを込めて、組合員たちが町に事業延長を求める手紙を出しました。
 「復興やまちづくりの、町民レベルでの取り組みを手伝いたい」「サブレ作りを通して、子育て中の母親の働く場をつくりたい」「ようやく形にできそうなところまで来た」等々。
 この思いが通じたのか、緊急雇用事業は延長されました。
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category総合  time2014-04-30 14:00

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