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2012-03-05

南相馬・就活応援センター

被災者3人が組合員になり仮設回り

 東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域が約3分の1を占める福島県南相馬市。企業の撤退や移転が相次ぎ、漁業や農業などの復興の目処も立たず、若い人や子どもを中心に人口が震災前の71561人(2011年3月11日)から、45408人(2月23日現在)へと大幅に減少。原発被災に苦しむこの地で、昨年12月26日から労協センター事業団は、地域の人たちを仲間に迎えた南相馬事業所で、「就活応援センター」事業を行っています。

「話し相手失った」「外に出たい」さまざまな声を受け止めて


 「こんにちは。お忙しいところすみません。私は、県から委託を受けて行われている就活応援センターの者です」
 就活応援センターのマネージャー一條暢さみつるんは、ポスターを見せながら、挨拶。仕事探しで何か困っていることはありませんか?」続ける一條さんに、「うちは年寄りの2人暮らしだから、仕事は探していないのよ」と女性。一條さんは「何か、相談事があったら、ぜひ連絡下さいね」と丁寧に言葉を継ぎ、辞した。
 南相馬市と相馬市の仮設住宅を1軒1軒回り、就活応援センターを紹介し、南相馬市役所にある相談室への来室を促すのが一條さんたちの仕事です。しかし、仮設住宅27カ所を全て回って、今2巡目になりますが、2カ月間で相談室へ来た方は5人。
 「昼間、仮設にいるのは高齢の方か、高齢者を介護している女性、小さい子どもがいる若い女性がほとんど。仕事を探している人は少ない」と一條さん。では、男性たちはどこへ。南相馬では、パチンコ屋や飲み屋が流行り、外車を乗り回す若い人が増えたと、行政や地域の人から聞かされるそうです。「雇用保険があるし、原発の補償金が入るから」と、働かないことを選択した人も多い現状もあるようです。「東電から取れるだけ取って」と言う人、「いつ、自宅に帰れるのか分からない。先が見えないから、今が楽しければいいや」と言う人もいました。しかし、「職を紹介してくれないのか」「体を動かさないとなまる、すぐに仕事がしたい」などの相談者の声もあります。ただ、就活応援センターは直接の職業紹介事業ではないため応えられず歯がゆい思いも。
 また、仮設を1軒1軒回っていると、様々な話を聞きます。
 「仮設に閉じこもらないためにはどうしたらいいのか」「仕事場を失い、話し相手も失ってしまった」「ボランティアでもいいからとにかく外に出たい」。時には、孤独に苦しみ精神的に参ってしまった人に出会い、悩みを聞くこともあります。 生活全般の相談を受け、寒い中、仮設の風除室で10分以上も話し込むことも。「困りごとや意見があったら市に伝えますよ」と話し、実際に報告をしています。
 見守りや話を聞くことも、仕事の一部になっています。

相談者が働けることを第一に積極的な動きを

 就活応援センターは、労協センター事業団が福島県の緊急雇用創出事業(震災対応事業)に応募して採用されたもの。仕事は事業周知のための仮設回りの他、相談室でハローワークの情報を紹介しつなげることや、履歴書や職務経歴書の書き方の相談に乗るなど。
 スタッフは一條さん、登録カードキャリアコンサルタントの城田美実さん、蒲原洋司さんの3人。一條さんは、相馬の実家に戻り仕事を探しているところで被災。城田さんは市の非常勤職員をしていた時に被災し、仕事を辞めていました。蒲原さんは、家業の食品製造業を手伝っていました。警戒区域の小高区に自宅と工場があり、今は家族と仮設で暮らしています。
 3人とも就労支援の仕事は初めてなので、研修を受け、登録カードキャリアコンサルタントを取得したり、埼玉のアスポート事業やみやぎ北若者サポートステーションの取り組みに学んだり。それでも、自分たちが本当に相談者の力になっているのか、自信がないと言います。
 そこで、ハローワークや企業の求人情報を集め、相談に来た人の希望にあったものを紹介するなど、積極的な動きにでたいと考えています。
 「困っている人の力に少しでもなりたい。そのためなら事業の枠を越えていると市からクレームが多少あっても」と、城田さんは語気を強めました。 市からは、相談者の数ではなく、その人たちが就労につながることを大切にして欲しいと要望があります。

全国の経験と知恵を原発被災地の仕事おこしに

 就労支援事業は3月まで。業務と並行して事業延長の可能性を探り、新たな補助事業への応募、求職者支援訓練の企画書づくりにも取り組んでいます。
 「市の担当者から、元気高齢者の働く場づくりを考えていることや、ヘルパーが不足していることなどを聞いた。センター事業団は福祉が強いのでその分野で何かできないか、とも言われた」と一條さん。制度利用のヘルパー講座などの可能性が出てきました。
 また、蒲原さんは「原発事故の被災者は家があっても帰れない切なさを感じている。自分の住む仮設では班長をつくり、その人たちが高齢者や子どもの見守りをしている。こういう活動を活かして、仕事がおこせたら」と考えています。
 常磐線が寸断され、アクセスが大変になった南相馬。始まったばかりの事業所であり、「全国に仲間がいるのは分かるが、どんな事業をしているのかなかなか見えない」と精神的な孤立感もあります。「もっと、他の事業所と交流して、それを南相馬の新しい仕事おこしに活かしたい」と、3人は切に訴えます。 郡山から通う川合良輔所長は、「被災者がこの事業所で働いていることを全国に知ってもらい、支援して欲しい。4月以降も3人がここで働いて、地域に仕事をつくっていきたい」と、全国の仲間の経験と知恵を求めています。
 「南相馬の仮設でも支援の取り組みを一緒にしましょう。ぜひいらしてください」
 3人は大きな声で全国に呼びかけています。 



~仮設で聞いた声~

仕事の悩み
仕事がない/交通手段がない/年寄りの面倒みねば/心が苦しくて

・コンビニでバイトをしている。会社で正社員として働きたいが、仕事自体が少ないので、当分はバイトで我慢する。
・再就職はしたいと思うが、車もバイクもないためなかなか採用してもらえない。
・働きたいが交通手段がないので厳しい。
・年寄りと同居なので面倒をみなければならず、働きに出たくても出られない。
・この仮設には農業、漁業をしていた人が多い。その人たちのほとんどが、今は田んぼのガレキ処理をしている。
・震災のショックでいまだに精神的に立ち直れていない。去年の春に(高校を)卒業して就職したが、心が苦しくなって働けない。早くなんとかしたい。
・先の見通しが立たず、手当(原発事故の補償)をもらっているうちは仕事を探す気にならない。
・年寄りでも働くところがあるのか?

暮らしの悩み
話し相手がいない/体を動かす場がない/見通しが立たない

・同じ地区の人が固まって入っているといっても前に隣近所に住んでいた人がいるわけではないので、話し相手が出来ずノイローゼになりそう。また通院している。
・年金暮らしだし、自由に買い物に行く手段がない。夜の配食サービスがあって本当に助かっている。
・農業をしていたが、仮設に入ってからは体を動かすことがなくなったので、糖尿病になってしまった。集会所でラジオ体操はしているが、他に体を動かす場があればいい。
・震災からもうじき1 年が経つが、先の見通しが立たないのでとても不安だ。
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category総合  time2012-05-07 09:31