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[行動提起] 協同労働で「生活と地域」復興の仕事へ

協同労働で「生活と地域」復興の仕事へ
がんばろう東北 たたかう東北


2011年3月30日 労協連理事会
2011年3月26日 労協連東北地区組合員会議

 東日本大震災の発生から2週間がたった。
死者、行方不明者は3万人に近づき、その数は膨大に増えようとしている。
 七ヶ浜、石巻、女川の海辺に立ち、目の前に広がるあまりの光景に言葉を失う。三陸海岸に連なる街並みは津波にえぐられ、日々の暮らしの風景は一瞬のうちに消えた。この下に眠る多くの人々に命を思い、この光景を決して忘れまいと目に焼き付けた。そして家屋が泥につかり、一面がれきの山と化したこの街の復興を、離れていてもひとごとではなく我がこととして受けとめ、自らにできる役割をともに担っていこうと心に誓った。

 地震、津波の被害に加え、福島原発が制御不能の状態に陥り、人災そのものである放射能汚染の危険が刻一刻と迫っている。“電気なんていらないから、家族に会いたい”―汚染の非難対象地域ゆえに、安否のわからない家族を探すことすらできない被災者の言葉が耳を離れない。
 一方でこの原発の推進を通じて、巨額の富を得てきた大企業、政治家、官僚たちがいる。そして今も“想定外の事故だった”とその責任を逃れる言葉を平気で口にする。また下請けや派遣の労働者や危険を知らされず働かされた路上生活者の命の犠牲の上に、この原発政策は成り立ってきた。
 日々明らかになる土壌、空気、水、農作物への汚染拡大と地域破壊の深刻な事態―、安全な放射線量などありえない。この原発事故は、原子力エネルギーの安全性が決して信用できないことが白日のもとにさらされ、全国民、全世界の前に明らかになった。
 原発は大量生産、大量消費、大量投棄システムに対応するエネルギー政策だ。人間の力が及びもつかない自然の災害はこれからも必ず起こりうる。資源がないから“仕方がない”と認めるのではなく、また企業の儲けを基礎に置くのでもなく、人の命、地域の暮らしの安心と安全を最優先においた社会の創造とそれにふさわしいエネルギー政策に転換すべきであることを、今回の事態は教えてくれた。私たちは、その意思をはっきりと表明しなくてはならない。経済成長と資本の増殖をすべてに優先するこの社会のしくみと、その目的のためには人間の命や生活を危険にさらして恥しないものとたたかわなくてはならない。

 日本と世界の激変期、そしてその象徴とも言える1000年に一度と言われる未曾有の大震災に今私たちが直面していることの意味を思う。
九死に一生を得た仲間たちから生と死は紙一重であり、奇跡のような偶然の積み重ねと“人間捨てたものじゃない”と思えるような何人もの助けの中で、今その命があることが語られた。本当に東北の多くの仲間の命が今ここにあることに、いとおしさと心からの感謝の気持ちが涌いてくる。
 一瞬のうちに数万人の命が奪われ、先の見えない避難所生活が続き、今も子どもたちが放射能の危険にさらされ続け、計画停電が行われ、燃料や食糧が手に入りづらい日々が続いている。こうした混乱の中、心ない略奪が起こる一方で、多くの被災地で互いに助け合い、支えあい、困難を越えていこうという人間らしい営みも広がっている。

 生きていく上で何が最も大切な価値なのか、本当に必要なものとは何なのか、―被災地の人々だけではなく、私たちの全てのくらしを見直し、改めて人間らしい生活を立て直すこと、それを可能とする地域社会をどう創り直していいのかいくのかが問われている。自立と協同と連帯を基礎に、“自分たちの手でつくる”― 人任せではない取り組みに高め、本物の人間同士の支え合う力、その絆を取り戻すことを、地域の復興、再生のあらゆる取り組みに貫いていきたい。このことが、過去最大の被害をもたらしたこの震災に私たちが向き合う意味であり、今生命ある者に課せられた使命であると思う。震災を通じて露わになった資本の増殖を正義とし最優先するこの社会のあり方を根本から変え、命の輝く安心・安全な社会を築き、それを阻むものと決然とたたかう取り組みとして、地域の再生と復興を位置づけ、協同労働の協同組合として本格的な役割を果たしていこう。

 この二日間かけて東北の現場を回り、多くの困難にめげず、たくましく奮闘する仲間の姿にたくさん出会い、胸が熱くなった。利用者に覆いかぶさってその命を守ったケアワーカーたち。家に居続けると日一日と体が弱っていく利用者と、疲弊する家族を支えたいと、一日も早いデイの再開にとりくむ地域福祉事業所の仲間たち。三日町陽だまりは1日も休まず子どもたちと高齢者の安心の拠り所となり、なるっこは利用者におにぎりを届け、地域の人たちに温泉のお風呂を無料で開放し続けた。大揺れの中、逃げずに踏みとどまって弁当を作りきり、利用者に夕食を届けながらいち早く安否の確認をし続けた多賀城の仲間たち。現場に交代で泊まり込んで、避難所の人々と児童クラブの子どもたちを支え続けている児童館の若い仲間たち。地震の翌日もほとんどの仲間が出勤し、被災地の野戦病院と化した現場を支え、奮闘する清掃現場の仲間たち。郡山の避難所の中核センターとなった開成山運動公園の清掃を担う仲間たちも、体の弱った被災者のトイレ介助や安全な環境づくりに全力をあげ、その奮闘に市長からの感謝の言葉が届けられた。
 また労協連、センター事業団の全国の仲間たちの物資支援の取り組みは瞬く間に広がり、どこよりも早く被災地に届けられ、不安の中にあった現場の仲間を大きく励ます力となった。
戦後復興の失対事業対策の中から生まれた事業団運動。そして私たちは清掃、物流のよい仕事の取り組みの中から地域福祉事業所をつくり、公共の仕事を担い、自立支援のケアの領域を広げ、失業者や生活保護受給者に徹底して寄り添い、共に働く道を切り拓く取り組みへと挑戦してきた。その中で一歩一歩培ってきたケアの力が、全国の仲間の連帯力を高め、東北の地でも確実に発揮され、利用者や地域を支える力となっている。

 いよいよ局面は緊急避難・緊急支援の態勢から、協同労働で「生活と地域」の復興の仕事をおこす新しい段階へと向う。破壊の現実のあまりの重さ、経験したことの苦しさ、家族、友人、知人を失って尚、失意の中から生きていかなくてはならないことの辛さ、これからの仕事や生活再建のの見通しがもてない不安―。そこから生きる力を取り戻し、自らの生活、人生、それを支える地域の再建に一歩を踏み出すためにも、今“ケア”が最優位の取り組みとなる。
仲間同士、利用者、家族との協同を力に徹底して地域の中へ-。そして私たちの協同労働が生み出すケアの力を、より困難の中にある人たちのところへ届けたい。その生の声を聞き取り、思いを語り合える場をつくり、その中から自らの生きる力を取り戻し、今何が必要か、私たちに何ができるのか、みんなで話し合う場を地域に無数に作りだしていこう。


 住宅や施設等のインフラの整備は国、自治体、ゼネコンの力で進められるだろう。しかし地域の本当の復興は、そこに生きる人々の力、市民の手でしかなしえない。そして破壊しつくされた地域の中から立ち上がり、人間の営みを再びつくり出そうとするときに、“心を合わせ、力を合わせ、助け合って仕事をすること”が今ほど求められる時はない。そのとき私たちが協同労働の理念を地域にどのように語りかけ、共にやろうと呼びかけられるのか。言葉だけではなく7つの原則、3つの協同を本当に体現できる組合員、リーダーになろうとするのか。その決意と覚悟が問われている。
今、協同労働運動の壮大な実験が東北の地で始まろうとしている。その大元に最も大切な“ケアと連帯”を据えて、全ての東北の仲間たちが、本物の生活と人間らしい地域の復興・再生に立ち上がろう。

がんばれ東北!たたかおう東北!
そして労協連、センター事業団の全国の仲間が、東北の仲間と市民のたたかいに連帯し、その取り組みから学び、全国の力とし、命が全てに優先される新しい社会への変革、新しい時代の創造に向っていこう。


<行動提起>

(1)全てのとりくみの基礎にケアを貫く
・仲間同士、利用者・家族、地域みんなで全力をあげて支え合おう。その東北の仲間の奮闘を全国の仲間が支え、地域の連帯、全国の連帯の質を本格的に高めていこう
・ケアと生活と仕事の統合相談センターの開設、本当の思いを出せる居場所づくり、それを共有し、知恵を出し合う地域懇談会の開催に無数に取り組もう。現場・事業所の全ての仲間がケアの力を発揮し、地域になくてはならない存在に高まろう
(2)あらゆる地域の人々、そして自治体と手をつなぎ、協同労働がこれまで培ってきた全ての力を生かし心のケア、生活の再建、地域の復興・再生を支える仕事おこしに全力で挑戦しよう。そして、これこそが本物といえる“新しい公共”を東北の地から創り出す
(3)「生きること」の根本的な問い直しの中から、人間らしい本物の生活の質、地域のありよう、社会のありようを見つめ、できることから自らの手でそのつくりなおしを始めよう。
労協連として反原発・脱原発の旗を掲げ、生命・自然・環境を大切にする安心・安全な社会を求める人々と手をつなぎ、新たな運動をおこす
(4)東北の復興・再生を焦点に、公的訓練就労事業制度の確立と協同労働法制化の実現を
・政府が責任をもって、生活と地域の再建・復興のための仕事を公共事業として行い、その事業を仕事を求める市民が協同で担い、自らのまちづくりに生かす道を拓くために、東北の地から公的訓練就労事業制度を確立し、実施することを強く迫っていく
・この復興・再生に向かうみんなの迫力ある実践の力で、“協同労働の協同組合がこの社会の再生になくてはならないものである”という共通の認識をつくりあげ、法制化を必ず実現する
(5)社会連帯機構に東北の復興と再生を支える基金(義援金)をつくり、3ヵ年で10億円を目標に内外に呼びかける
 中長期にわたり東北の仲間の命と暮らしを守り、地域を支えるための基金とする。そして息長い仕事おこしと社会連帯の取り組みを本格的に推進する
(6)根本が問われる時期だからこそ、本当の協同労働とはどういうものかを仲間と深く問い合おう
 絶望のふちにある人の心に、それでももう一度立ち上がろうという希望の灯をともせるような3つの協同とはどういうものか。7つの原則を本当に体現し、地域の再生に生かしきるとはどういうことか。1人1人が決意と覚悟を持って、協同労働の深くて新しい質をつくり出そう。
time2011-03-27 12:44