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協同労働の協同組合法案 難しく?簡単な?解説

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協同労働法制化市民会議副代表・島村博さんによる、むずかしくて簡単な?協同労働法案の解説です。
なお、○は数字クイズです。

■中小企業等協同組合法の「企業組合」ではなぜだめなのか

目的は営利、出資配当は非課税で優先
組合員は少なく、雇用者は多くして、利益山分け
企業組合は営利法人

―労協をやろうとするとき、中小企業等協同組合法の企業組合ではだめだといいますが、なぜですか。
 「改正企業組合制度のごあんない」(全国中小企業団体中央会)というパンフを見ると、「企業組合制度は、個人の創業を応援する制度です」とあり、「企業組合は個人(4人以上)が組合員となって資本と労働を持ち寄り、自らの働く場を創造するための組織です」と書いてあります。これは労働者協同組合とほとんど同じでは。

島村 たしかに、組合員の中では、1人1票の議決権だし、協同組合的運営がされている面はある。しかし、目的は、働く場の創造ではなく、営利だ。そのパンフでも、「企業組合は営利法人です」とはっきり書いてある。

―どこに。

島村 ほら、ここ。

―「営利追求できる組織です」という表現ですよね。営利追求もできる、ということなら、いいのでは。

島村 いや、営利が目的の法人なんだ。
■出資配当の上限は○割

―どうしてそう言えるのですか?

島村 まず、利益配分の順番。第1位は何だと思う? 出資配当だよ。
 しかも、平成14年度の法改正で、出資配当の上限がそれまでの1割から、2割になった。

―労協センター事業団の場合は、共同の基金である「自立積立金」を最優先し、労働配当、出資配当の順番にしていますよね。

島村 そう。協同労働の協同組合法案でも就労機会創出などのために使う基金、自分たちで分配してしまうことの出来ない基金を積み立てることを第一としているから、ここは決定的に違う。
 しかも法改正で、法人が組合員になることも認められた。投資ファンドのような法人が資本を入れただけで配当を得る。株式を購入したのと何も変わらない世界になった。

―協同労働の協同組合法案でも、法人などが組合員となることを認めていますが。

島村 それは、町内会とか、事業目的に賛同する団体で、金儲けではなく、力を発揮してもらおうという趣旨だし、組合員になる要件が決まっている。しかも、組合員の総会で承認されなければならない。
■「出資1口以上」の意味は

―他に労働者協同組合と相容れない点は。

島村 組合員になる資格、条件のことだけど、たとえば、第十条「出資」で、組合員になるには「出資1口以上を有しなければならない」とある。これ、どう解釈します?

―「1口出資をすれば当然に組合員になることができる」でしょ。

島村 国語的にはそうだけど、「ということではない」と「中小企業等協同組合法の解説」(中小企業庁組織課編著)に書いてある。
 たとえば定款で10口と規定されていれば、10口払わなければ組合員になれない。

―センター事業団だと、地域に必要な仕事を自分たちでおこそうという人がどんどん参加できるようにする。しかも「社会的に不利な立場にある人々」も含めて就労の機会を求めてつくる。
 だから、1口5万円の出資と、そこで働くということで組合員になれる。自分の給料の2カ月分以上をメドに増資をしていくけど。


■1口10万円でも○万円

島村 これでびっくりしちゃいけない。1口の金額も事実上、変わってくる。
 たとえば、10人が1口10万円ずつ出資して100万円の資本で事業をして、3年たって300万円の総財産になったとしたら、1口の出資証書には10万円と書いてあっても30万円の価値があるから、新しく組合員になりたい人は額面の10万円だけでなく、差額の20万円も払わなければならない。
 これは、「出資1口金額と組合財産の増加による出資1口当たり持分額との差額」ということで、「中小企業等協同組合法の解説」に書いてある。出資金の観念を財産権としてつくりあげているんだ。


■組合員以外○分の○も

―そんなことをしたら、ほとんどの人が組合員になれないじゃないですか。

島村 その通り。組合員を増やさない仕組みなんですよ。
 前は、そこで働いている人のうち2分の1は組合員でなくてもいい、としていた。さらに、法改正で3分の2の人は組合員でなくてもいいとなった。
ということは、3分の2の人が稼ぎ出した利益も、組合員で山分けできるということ。
 だから、順調にいっている企業組合ほど、雇用者は増やしたいが、組合員は増やしたくない。組合員が増えたら分け前が減っちゃうから。

―労協は「雇う・雇われる関係」ではない働き方をめざしているのに、一部の組合員が多数の労働者を雇用する、それでは労働者協同組合とはまったく相容れないですね。

島村 そう。だから法改正で、企業組合はいつでも株式会社に転換できるようにした。普通なら、解散しなければいけないのに、総会の議決で、明日から株式会社にすると決めれば出来る。

―そうすると、企業組合を活用することも出来ない、ということですか。

島村 やむをえず部分的に活用することはあっても、剰余金配分の順番などは変えられないし、協同労働の協同組合という仕組みを社会に広げるものにはならない。
 要は、全体として、協同の力を発揮できる仕組みになっているんですか、ということだね。
 
 
医療生協では、出資・利用・運営が原則で、利用者と職員が組合員となり、目的に賛同できる人々のネットワークづくりを進めている。協同労働の協同組合とはどう違うのか
働く組合員が経営にも責任負うかどうか
地域医療発展にも協同労働法は大きな力


■利用者が組合員
医療生協は、生協法に基づいて設立されており、法で予定されている組合員は、サービスの利用者です。
職員が組合員になっていても、それは、サービスの利用者としてであって、サービス、労働を提供する組合員としてではないのです。
医療生協の職員の皆さんは自覚的・主体的に働いておられると思いますが、法的には、あくまでも雇用関係に立っており、普通の消費生協と変わりません。働く組合員が医療生協を設立し、経営に責任を負っているわけではないと思います。

■地域も限定され

一方、協同労働の協同組合法(案)では、利用組合員の意思を反映させるようにもしていますが、働く組合員が主になるように設計しています。
たとえば、利用する組合員の数が、働く組合員の数を大きく上回っても、役員の5分の3以上は従事組合員であることとしています。
また、地域の力を最大限に引き出し、活用するという点でも、生協法人と協同労働の協同組合法とではかなり違う点があります。
例えば、夕張のように自治体が経営する病院がおかしくなって、地域に必要な病院を再建しようとなった時、協同労働の協同組合法では、その地域の住民の力と同時に、地域を越えたところからのサポートも得られるようにしています。全国どこに住んでいる人にでも出資してもらえるようにしているのです。
生協法人にもとづく医療法人では、地域が決まっており、それはできないわけです。
おそらく、医療生協の職員のみなさんがそうした壁を一番実感されているのだと思います。ですから、協同労働の協同組合法は、医療生協で働く方々が望むような医療を実現し、地域医療を発展させる大きな力にもなりうると思っています。

■フランスの例

それが確かだということは、02年にフランスを訪問した際、実感しました。
ヨーロッパの社会的協同組合は、5種類の組合員を想定しています。
1働く組合員-医者、看護師、職員すべて、2ボランティアの働き手、3医療・福祉サービスの利用者、4法人を抱えている地方自治体、地域の団体-町内会、自治会など組合の事業に出資などにより協力する団体、5個人としての出資者。
この5つのうち、1と3、つまり、働く人と利用者は必ずいなければならない。残り3つのうち1つは必ず含めなければいけない、ということになっています。
フランス労協連の理事長は、過疎地などの病院はこういう形で再編成し、存続をはかっている、こういう形でしか維持できない、と話していました。
訪問した時は、法律が通ったばかりでまだ2つの社会的協同組合しかできていませんでしたが、いまは80~90に増えているそうです。
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